「職人しか直せない特注品」か「図面が公開された標準品」か
今回はWordPress(ワードプレス)について少し書こうと思います。
TMCreationでは、ウェブサイト制作のプラットフォーム(CMS:コンテンツマネジメントシステム)として、主にこのWordPressを採用しています。
お客様からはよく「WordPressって何ですか?」「結局、何が良いんですか?」というご質問をいただきます。
よくある説明では「専門知識がなくても、自分たちで何でもできる魔法のツール」のように語られがちですが、正直に申し上げます。 それは「少し言い過ぎ」かもしれません・笑
実際、WordPressで設計されたウェブサイトのシステムに不具合が起きれば専門家の力が必要ですし、セキュリティの裏側を知識のないまま運用していくには、大きなリスクを伴います。 従いまして、ウェブサイトを安全に、かつ高品質に維持し続けるためには、やはり「プロの技術者」の存在は欠かせません。
では、なぜそれでも、世界中の経営者たちはあえてWordPressを選ぶのでしょうか。 それは、万が一のときに「別のプロに交代できるかどうか」という、経営上のリスク管理に決定的な差があるからだと私たちは考えています。

「職人の頭の中」にしかない設計図のリスク
多くの制作会社が提供する独自システムは、その会社のプログラマーが独自に書いた「門外不出のコード」で動いています。 もしその会社と疎遠になったり、担当者がいなくなったりした場合、他の業者がその中身を解析して修理するのは至難の業です。 結局「作り直した方が早い」と言われ、数十、いや数百万円の投資がゴミになってしまう可能性。 これが、ブラックボックス化されたシステムの恐ろしさです。
WordPressは「世界共通の設計思想」を持つトヨタ車である
もちろん、WordPressであっても、システムに不具合が起きればプロの技術が必要です。 しかし、その「直し方」が世界共通の規格として公開されていることが、他のシステムとの決定的な違いを生みます。
例えるなら、「世界中で部品もマニュアルも流通しているトヨタ車」のようなものです。 私の整備士の友人は、現場の実感としてこう語ります。
実は、ウェブサイトの世界でも全く同じことが起きています。 特定の会社が独自のルールで作ったシステムは、いわば「専用工具」がなければ触れない車のようなものです。 その会社と連絡が取れなくなれば、修理することすらできません。
対してWordPressは、世界中の技術者がアクセスしやすいよう、設計図(構造)が標準化されています。もちろん専門的な領域のため、一般の方には難しい部分もありますが、技術者の視点で見れば、この「透明性の高さ」と「メンテナンスのしやすさ」こそが、世界中で選ばれ続けている最大の理由といえます。
その事実は、以下のような圧倒的な数字にも表れています。
- 世界シェア62.5%: 何らかの管理システム(CMS)を利用している世界のサイトのうち、実に6割以上がWordPressで作られています。 2位以下に圧倒的な差をつける独走状態です。
- インターネット全サイトの約43%: 世界中のサイトの約4割を占めています。 これは、世界中に存在する他のあらゆる管理システム(ShopifyやWixなど)をすべて合計した数よりも、WordPress一つの方が遥かに多いことを意味します。
これほどのシェアがあるからこそ、不具合への対応も世界最速で行われます。 高いセキュリティと信頼性が求められるホワイトハウス(アメリカ大統領官邸)やNASA、国内の多くの大企業が公式に採用している事実も、このシステムが単なる「流行」ではなく、確かな「インフラ」であることを物語っています。
たとえ現在の整備士(例:TMCreation)が引退したとしても、別の技術者が共通マニュアルを見て、すぐにメンテナンスを引き継ぐことができる。
「特定の誰かがいないと動かない」という属人性を排除し、いつでもバトンタッチができる状態にしておくこと。 この「継続性」こそが、企業がWordPressを選ぶ最大の理由であり、最大のリスク管理なのです。
「専門家」の使い道を最適化する
プロを雇うのは、サイトが壊れた時だけではありません。 WordPressを導入することで、経営者は「情報の更新」という日常業務を業者から取り戻すことができます。
- 社内: 「今日、この情報を伝えたい」というスピード感を自社でコントロールする。
- プロ: システムを安全に保ち、最新のWebトレンドに対応させる「守り」と「攻め」を任せる。
「プロにしかできないこと」にだけコストを払い、「自分たちでできること」は自分たちでやる。 この運用の切り分けと、コストバランスの透明性が、健全なサイト運営を支えます。




